その光の強さに一瞬狼狽えて固まった隙に、颯ちゃんの唇が額に、瞼に、頬に唇にと、キスを落としながら、服の裾から胸へ手を這わせる。

ぞくぞくして身震いし、顔を横に逸らし俯くと、今度は耳朶に舌を絡められた。

颯ちゃんに慣らされた身体は容易に快感を拾い、素直に反応してしまう。

耳殻を甘噛みされ、僅か体温が上がり、下腹部の中心が甘く疼く。


「リリー、頼むから俺から離れないで。愛してるんだ。今更離れられない」


颯ちゃんの苦悶に歪めた瞳から、ポタリと頬に水滴が降って瞠目した。

颯ちゃんが私に愛を乞い涙を流している。

これが私の都合でつくられた夢ではなく、本当に颯ちゃんが言葉であるなら私はどんなに幸せだろう。

でも、夢でも現実でも、颯ちゃんにこんな表情をさせるなんて……。


「ごめん……ごめんなさい……。私も、颯ちゃんと……離れたく、ないよ……。傍に……居たい、よ。だけど……私、颯ちゃんの事、騙してるから……そんな資格、ないって」


ボロボロ溢れ出る涙をおさえようと、両手で瞳を覆い隠し、嗚咽しながらなんとか言葉を紡いだ。


「パーティで、りことして……颯ちゃんと、会った時、颯ちゃんが……私に、気づいて、ないのを良い事に、私……他人の、フリしちゃったの。大……好きな、颯ちゃんと……付き、合えた時は……凄く、凄く嬉しくて……。本当は、すぐに、別れる……つもりで……いたのに。思い出、つくったら……離れて、香織さんとの結婚、祝福しようって……。それなのに、私、颯ちゃんと……一緒に居るのが、幸せで……中々、別れ……られなくて。そしたら、香織、さんに……色々調べられて。嘘ついてるのバレて……。颯ちゃんに言われたら、嫌われて……愛人と、しても……リリーとしても……傍に、居られなくて……」


自分の婚約者を騙して、関係を持った人間が、家族の皮を被ってのうのう近くに居たら、誰だって許せないよね。

私の身勝手で、香織さんには嫌な思いと役回りをさせてしまった。

そんな私を排除しようとした香織さんは間違ってない。

これはすべて、私が犯した罪の結果だ。


「それなのに、私……颯ちゃんに、会い……たくて……会いた、くて……。毎日、会いたくて……苦しかった……」


自分の愚行と、それで得た寂寥の想いに喉を震わせる。