「だから言ったんだ。俺にすればいいって」
「!?」
ギョッとしたのは私だけではなく、池田部長、野村さん、三沢さん。
更に河原さんが、
「どーゆーこと!?」
聞き耳を立てていたらしく、イノシシのように突進してきて、手にしていたグラスをダンッと私の前に叩きつけた。
こ、怖い……。
「水戸、いつの間に黒川さんにアプローチしてたんだよ!?」
「ちょっと!いつの間に水戸さんと仲良くなったのよ!」
「黒川、水戸はやめとけ!」
「だから~!いつからそんな関係に!?」
「うまくいってないならチャンスか?水戸」
「黒川さんのくせに、彼氏がいるなら水戸さんに色目つかわないでよ!」
其々が言いたい放題で、どこから収集していいものか頭がパニック陥っていると、
「水戸君、梨々子ちゃんと付き合うなら颯吾君という壁を乗り越えなきゃならない。何故なら……」
酔っぱ……池田部長が、真剣な顔で水戸さんに説教を始めた。
幸い?颯吾=篠田颯吾と誰も気づいていないようで、そこは安堵した。
暴走する池田部長をとめようとする私の肩を「聞いてるの?」と河原さんに揺らすから、軽く眩暈に襲われる。
また気持ち悪くなってきた……。
河原さん、お願い、やめて……。
私が地獄の淵に立たされていると、神の声が響き渡った。
「はーい!そろそろ時間なので、お開きにしまーす!各自帰りの準備をして下さーい!皆さん忘れ物のないようにー。後、2次会に行く人は通行人の邪魔にならないよう外で待機お願いしまーす!」
早苗先輩の仕切りで、各々帰り支度を始める。
河原さんは早苗先輩に手伝うよう呼ばれて、渋々立ち上がり去り際にギッと睨まれた。
こ、怖い……。
変な緊張感から解放されて、喉がカラカラする。
移動する前に、喉の渇きを潤そうと、手元にある残り僅かなウーロン茶が入ったグラスを持ちグイッと流し込むと、変な味がした。
「あっ、黒川さん、それ河原さんのウーロンハイ!」
大丈夫かと、野村さんが慌てて近寄る。
そう言わた矢先に、急に身体が熱くなってポカポカ火照りだして、鼓動も上がったてきた。
視界がクラクラする。
実際身体が揺れていたのか、誰かに肩を抱かれて支えてられた感覚があった。