だいたい集合したところで、グラスをかかげ乾杯し、各々好きに飲んで食べて喋って。
お酒が進むにつれて席の移動で彼方此方入り乱れている。
アルコールが苦手な私は、乾杯用にビールを頼み、後はウーロン茶をチビチビ。
池田部長のところにご挨拶に伺いたいな、と思いつつも、あの肉食女子の群れへの接近は本能的に躊躇われる。
う~ん、困ったな。
何処かでタイミングがあればいいんだけど。
私の祈りとは逆行に、肉食女子たちのギラギラした瞳は、寧ろお酒の力も相まって光の強さを増しているように見えるのは……気のせい?
水戸さんと池田部長、ご愁傷さまです。
相変わらず食欲がない私は、料理には手を付けず、野村さんと三沢さんの会話に適当に相槌をうっていた。
お酒や料理、煙草の匂いと、いつも以上に気合いの入った女子の香水の匂いが、激しく嗅覚を刺激して結構辛い。
ああ……気持ちが悪い。
席を外し、化粧室で身を屈めていると、早苗さんの声がした。
「大丈夫?」
背中をさすってくれる。
「全然食べてないみたいだけど、食欲ないの?最近ずっと体調悪そうだし」
「……すみません。お腹は空くんですけど、なんか受け付けなくて」
「大丈夫なの?ウーロン茶じゃなくて、柑橘系の飲み物にしなさい。サッパリするわよ」
「……はい」
「それとももう帰る?タクシー呼ぼうか?」
「いえ……大丈夫です」
お世話になった池田部長の送迎会だし、出来るなら最後までいたい。
早苗さんのお陰で、少し気分が落ち着いてきた。
「ご迷惑をおかけしました。もう……大丈夫です」
微笑んでみせると、ダメだったら言ってね、と言われ2人で戻った。
席に戻ると瞠目をしてしまった。
野村さんと三沢さんがいるテーブルに水戸さんの姿があったのだ。
水戸さんは手招きをして自分の隣に座るように促す。
おずおずと指定された場所に着席すると、周りからの視線が痛い。
特に女子!
河原さんもさりげなく水戸さんの後を追ってきたけど「同期と話したいから」と水戸さんに一蹴され難色を示しながら近くのテーブルにお邪魔している。