認められた訳じゃないけど、誰かの前で颯ちゃんを恋人だと胸を張って言えた事がとても嬉しかった。

それで、ちょっと調子にのった私は、時々子供の頃のようなワガママも言ってみたりするようになった。

仕事帰り、和歌ちゃんと待ち合わせてショッピング(主にりこ用の服の調達アドバイス)を終えた後、颯ちゃんの帰宅時間を見計らって「迎えきて」とメッセージを送ると(颯ちゃんちに泊まる予定なので)、嬉しそうにすぐ迎えに来てくれる。

今までは、遠慮して自分から行動を起こせなかったけど、少し強気になって発言したりお願いをするようになると、以前より親密感が増した気がする。

兎に角、颯ちゃんが嬉し楽しそう……なのは、気の所為?

2人で食べるご飯も、肌を重ね交わる夜も、ただただ幸せで。

こんな日がずっと続けばと幾度も思い、幾度も溜め息をした。

りこと会わない日は、時間の合間を縫ってマンションではなく実家に帰ってきてはリリーの元を訪れたり連絡をくれる。

そのたびに、やっぱり私(リリー)はおまけでしかない事を実感せざる終えず、リリーから連絡をする事はなくなった。

それでも、女としての日々は満ち溢れ、愛する人と過ごし身体中に赤い花が散りばめられている。

こればっかりは減る気配もなく、寧ろ見えない部分には増殖の一途辿るばかり。

胸や腹部には所狭しと花は連なり、このままでは身体中が鬱血で真っ赤に染まるのでは自嘲が零れた。


そして、気が付くと季節は変わっていて、付き合い始めて3カ月がたった。

既に自主的にマンションに通い、掃除に洗濯、食事を作って大好きな人の帰宅を待つのが日常となり。

いつか別れなきゃいけないというのが、寧ろ非現実的な事のように思えてくる。

こうしてると、何も障害のない本物ののカップルみたいだ。

幸せを噛みしめる度、期待しちゃいけない。

勘違いしちゃいけない、と戒める。

だけど、こんな日がずっと続けばいい。

料理をするのも、洗濯をするのも本当幸せで。

包丁1つまな板に刻む音も、シャツにアイロンをかけるのも、胸の奥が擽られた。



今日もいつもの如く会社帰りにスーパーで買い物をして、颯ちゃんのマンションへ。