手で顔を覆う円から、規則正しい寝息が聞こえてきた。
そっと手を離すと、
さっきより何倍も柔らかい表情で眠る円の顔が現れた。
よかった…
これ、寝てるよな…?
やっぱ不眠症っつっても、
結構早く治るもんなのかも。
俺はすかさずそばに置いてあった円のカバンを漁る。
こいつ、スマホどこに隠してやがる…!
こんなめんどくせぇこと
やっぱり続けるのは御免だ。
とっととスマホ見つけて、データ消す…!
カバンを漁るも、
出てくるのは教科書やらノートばかりで、
一向にスマホが出てこない。
こんな風に脅されてるんだ。
カバンを漁るくらいなら抵抗もなかったけど…
チラッとすやすや眠る円を見る。
まさかポケットとかに入れてんのかな…。
いくらこいつがクズでも、
ポケットに手を突っ込んでる時に起きたり、
誰かに見られたらな…。
でも…
数分間、悶々と葛藤し、
気合いを入れて、腕まくりをした。
もともと悪いのはお前だからな、円。
そっとタオルケットを剥がそうとしたその時、
円はいきなりパチリと目を覚ました。
俺は声にならないほど驚き、
数秒間固まった。