「好き。」


耳を疑った。

『好き』?

昼休みに呼び出して、そんなこと言って…
まるで告白…
いや、まさか。


間もなく、うつむく円の顔からポツリと涙が降った。
その瞬間悟った。

告白…なのか。


すぐに俺の中に葛藤が生まれる。

一昨日みたいなひどいことを思うやつ、するやつの…
俺なんかのどこを…

いや、それよりまず
円は俺と付き合うべきじゃない。

ずっと前から思っていた。
もっと穏やかで優しい男の方が円に似合う。

そしたら平和な日々を送れる。
不眠症ともかけ離れた日々。

俺は、いっそまた眠れなくなるくらい悩めばいいなんて思うクズだ。
自己中心的で、他人が嫌いで、そのくせ臆病。

俺じゃ円を幸せにできない。


でも……


円の瞳から
綺麗な
綺麗な涙が落ちていく。

俺の心も洗ってくれるような涙。

いとおしい。
触れたい。
そばにいたい。


もう一度…
キスしたい。








「宮…
好き…っ」








簡単に消せると思ってた。
つい2ヶ月前は。




無理だ。



俺は理性も優しさも迷いもすべて捨てて、
円を抱き締めていた。