Cherry blossoms

自転車で15分、途中で坂道がある私が通う高校の名前は、
桜海高校
この高校は、去年新校舎に建て直したので、まだ新築の匂いがするらしい。
今日は入学式の日。新しい友達に出会える…というのは、都会の話…
私が通うことになった桜海高校は、島にある唯一の高校。そのため、新しい友達って言うのは転校生が来たらの話。この島から出ない限り、どの学校に行っても大体同じような顔ぶればかり。
ということは、いいこともあり悪いこともある。いいことは、幼馴染がいっぱい居るため嫌いな物や好きな物の把握ができていること。
悪いことは小さい頃に起きた恥ずかしい事などをほぼみんなに知られていること。
まぁ言いふらされていたって言っても、小学高学年から中学入りたて位までしか話されなかったんだけど。高校生になってから話すようなものないからね。
ところで、さっきから家のインターホンを連続で何十回も鳴らしている馬鹿がいるんだ。朝からこんなに騒がしいのは一人しかいないと思うね。
「朝っぱらからうるさいな!何回も押さなくても聞こえてる!」
ーピタッ。
音が止まったと思ったら、
「波音ー!学校行くよー!」
次は声かよ。あ、紹介が遅れたね。うるさいこいつの名前は、
高山 海音
海音とは親同士が仲が良く、0歳の時からと言っていいほどの腐れ縁だ。
家は隣で、小さい頃から遊ぶ相手は海音だった。けど、性格は反対だし、趣味だって合わない。
私は海音に対して強く当たってしまうため、とっくの昔に嫌われていても仕方が無いと思っていた。
なのに、小学校の頃から今まで、こうやってほぼ毎日迎えに来ている。
「波音ー!はーやーくー!」ドンドン
こいつ、ついにドアまで叩きやがった。
もしこの家に私以外の誰かがいたとしたら、怒られてるぞ。
…もしかして、こいつMか?
おはよう。と挨拶を返して深く深呼吸をする。
鼻の奥に入ってくる海の香りは、1日1回は必ず嗅んでいる。この島ではどこに行ってもこの香りがするくらい、小さい島だ。
というか、この匂いを嗅がなければソワソワしてしまうほどにはこの島に依存しているのだと思う。
「波音さー!今日うちに泊まりに来なよー!」
え、唐突すぎない?
「今日、私勉強しなきゃいけないんだけど。ていうか、海音は勉強したの?あの高校、入学式の次の日に総テストあるんだよ?」
「うぐっ…」
私は中学の頃、学年の中ではトップの成績だった。
だから高校になっても、トップの座は誰にも譲りたくない。