「ほら、秋川さん……」



周りの人の哀れみの視線だってたくさん感じる。

あたしは、なんのために毎日ここに来ているんだろう。
課長にだって何度も話そうとした。
でも、課長はその機会をくれなかった。

いつしか言おうとすることも辞めた。
どうせ聞いてくれない。
どうせ信じてもらえない。

人なんて、信じるから負けるんだ。
誰のことも信じなければ、傷つかない。
いつしかそう考えてるようになっていた。



「あ、清川さん……」



トイレに行こうと歩いていると、リハビリ室から清川さんが出てくるのが見えた。



「あなた、あたしの担当が嫌だったんだって?」


「……え?」



一礼をして、トイレに向かおうと歩き出したとき、清川さんの口から発せられた信じられない一言。



「嫌なら早く変わってくれてよかったのに。一緒に頑張ろうなんて言葉を信じてバカみたいじゃない」


「……っ」



なにもいえなかった。
そうだとも、違うとも。



「まぁ、もういいわ。いまはいまで満足してるから」



それだけ言って清川さんは歩いて行った。