「誰のせいだと思ってるの……?」



賢晴が悪くないって分かっている。
全ては早川さんのせいだってことも。
でも、賢晴が少しでも最初に信じてくれていたら。
あたしの味方をしてくれていたら。

現実は変わっていたかもしれない。



「はいはい、島地くんは持ち場にいく!」



課長がパンパンッと手を叩いて、賢晴の背中を押す。



「あ、はい」



そんな課長に返事をして、医局から出ていく。



「課長……」



賢晴の背中を見送ったあと、課長の顔を見上げる。



「秋川さんは、この診療記録ファイリングしててくれる?」



あたしからの眼差しに気づいたか、気づかないのか。
あたしから目をそらし、診療記録の紙の束をあたしの前に置いた。


「わかりました」



何をいう気にもなれず、あたしは診療記録に手を伸ばす。



「あ、清川さん……」



1番上にあったのはあたしが書いた診療記録。
つい先週までは、清川さんと二人三脚でリハビリに向かっていたのに。