「おー、統吾。お前は相変わらず、いつも絶妙にダサチャラいな。似合ってねーんだよ」

「うっせーなー」

「ははは」


 坊主でゴリラの晄汰郎と、ダサチャラい統ちゃん――統吾という名前らしい男子の異色の組み合わせに、振り返りつつも動かし続けていた詩の足はとうとう止まる。


 まず、一見すると相容れなさそうなのに、意外にも親密な雰囲気さえ漂っていることに驚いた。

 そして、男子同士の砕けた言葉遣いにも、詩は同様のものを感じた。


 こんなふうに喋るんだ……。

 晄汰郎のその口調に、なぜか詩の胸はとくんと鳴る。


 その晄汰郎は、ちらりと詩の姿を見て、けれどそこには初めから誰もいなかったかのように、すぐに目を逸らした。そのまま笑いながら統吾たちのグループに近づいていく。


 統吾に絶妙な坊主頭をじょりじょり撫でられると、急にいつもの真顔に戻って、迷惑そうにその手を払う。でも、真顔も迷惑そうな素振りも、本心からのものではないことは、先の砕けた会話が如実に物語っている。