けれど、週が明けてみれば、これである。

 せっかく作った本命お守りを「いらない」と突き返しておきながら、ちょっと自分に追い風が吹けば、これだなんて……。


「……」


 手のひらを返すようだというのはこのことか、と詩は思う。

 晄汰郎ともいう冷静沈着と真顔がフォーマットの男が、あのときのたったひと言だけで、なにをそんなにがっついているのだろう。たった三日でこれだなんて、あまりに変わり身が早いのではないか。


「……ていうか、晄汰郎こそ、なんなの。私のこと、本気で好きだったりするの?」


 考えたけれど、一周回って、なんだか腹が立ってきた。

 興味本位で近づいたことは、私が悪かったから謝る。だけど、こっちの出方を待ってから言葉を返そうとしている晄汰郎のずるさが、どうしても解せない。


 男らしくないと言えば、それまでだ。けれど詩は、晄汰郎はそんな男じゃないと思っていたのだ。

 勝手に裏切られたような気分になるのもおおいに間違っているとは思う。だって、詩が勝手に作り上げた理想なのだし、あまりに身勝手すぎる願望なのだから。