朱里をとおしてちょこちょこ話すようになって、しばらくした頃。


 掃除当番で湊と一緒の班になったとき、同じ班のほかの男子に冗談で背比べを挑まれたことがあった。

 仕方なくそれに応じたものの、彼らは「やっぱ大垣でけーな」「そんなに身長あったら逆に分けてほしいんだけど」などと明け透けに言って笑い、要は朱夏をからかったのだ。

 

ぐんぐん背が伸びはじめた小五のときから散々言われ慣れてきたことだったので、その場は笑ってやり過ごした朱夏だった。けれどいくら慣れているつもりでいても、やっぱりそれなりにきついものがある。

 そんなとき、たまたま黒板の掃除を一緒にしていた湊が事もなげに言ったのだ。


『まあ、バレーボール選手としても中途半端な身長だし、女子としても普通に大きいし、からかいたくなって当然だよね』

 そう言って笑った朱夏に、一言。


『背の高い女子とか、モデルみたいで普通に格好いいじゃん。自信持って背筋伸ばせば? せっかくいいもん持ってるんだから、猫背なんてもったいなくね? しゃんと背筋を伸ばしたほうが大垣は似合うって』