純粋な心配と、ほんの少しのからかいが混ざっているように聞こえた口調は、けれどやっぱり九対一くらいで心配する気持ちのほうが勝っているのだろう。
それがわかっているから、香魚も本気で怒ったり不機嫌になったりはせず、ただ恥ずかしそうに俯いた。
「中学の頃から四年……だっけ?」
「そう。だから、もうそろそろ本気で頑張ってほしいんだよね。蓮高を受験するって聞いて追いかけちゃうくらい好きなんだから、あとちょっとの勇気さえ出せば、接点だっていくらでも作れるはずなんだよ、香魚は」
空中に視線をさまよわせながら思い出すように尋ねる朱里に、優紀が答える。
確か香魚は、一松悠馬という男子のことが好きだったはずだ。さすがに業を煮やしたのだろう優紀が、最近になって会話の中に名前を出すようになった。
剣道部で、インハイ後に三年が引退した今は副主将だとか。
前から顔くらいは知っていたけれど、こうして度々話題に上るようになってからは、朱夏もすっかり悠馬の顔と名前が一致している。
朱夏は、りんごみたいな真っ赤な顔を三角に折った膝の間に埋める香魚に同情を覚えつつも、朱里と優紀の会話に興味を抑えられずに体育座りを崩して身を乗り出した。
それがわかっているから、香魚も本気で怒ったり不機嫌になったりはせず、ただ恥ずかしそうに俯いた。
「中学の頃から四年……だっけ?」
「そう。だから、もうそろそろ本気で頑張ってほしいんだよね。蓮高を受験するって聞いて追いかけちゃうくらい好きなんだから、あとちょっとの勇気さえ出せば、接点だっていくらでも作れるはずなんだよ、香魚は」
空中に視線をさまよわせながら思い出すように尋ねる朱里に、優紀が答える。
確か香魚は、一松悠馬という男子のことが好きだったはずだ。さすがに業を煮やしたのだろう優紀が、最近になって会話の中に名前を出すようになった。
剣道部で、インハイ後に三年が引退した今は副主将だとか。
前から顔くらいは知っていたけれど、こうして度々話題に上るようになってからは、朱夏もすっかり悠馬の顔と名前が一致している。
朱夏は、りんごみたいな真っ赤な顔を三角に折った膝の間に埋める香魚に同情を覚えつつも、朱里と優紀の会話に興味を抑えられずに体育座りを崩して身を乗り出した。