蓮高の体育授業は、ふたクラスずつの合同体育だ。男子と女子とに分かれてそれぞれのカリキュラムをこなし、たまにこうして同じ空間で授業を受けることもある。


 朱里、優紀、香魚の三人は、去年同じクラスだったそうだ。今年は朱夏が朱里と同じクラスになり、朱里は優紀や香魚とは離れてしまった。けれど体育の授業では一緒になる。


 朱夏はふたりとは面識がなく、こうして体育の授業で一緒になるようになってから、朱里を介して話すようになった。ふたりとも朱里と同じくらいの身長で、女の子らしく、触ったらふわふわと柔らかそうな子たちである。

 可愛い。


「ふたりとも、お疲れー」

 朱夏も少し遅れて声をかける。揃って「おつかれー」と返してくれたふたりは、やっぱり子猫の姉妹みたいに動きがシンクロしていて、触ったらふわふわと柔らかそうだった。


「あ、ねえ聞いてよ、朱里ちゃん。香魚ったら、また今年も『渡せないで終わる』なんてもう諦めちゃってるんだよ。夜行遠足だってまだはじまってもいないのに、そんなに消極的でどうするのって話だと思わない?」


 すると優紀が、思い出したように言った。香魚が慌てて「優ちゃんっ!」と抗議の声を上げるけれど、優紀はそんなのどこ吹く風といった様子でまったく意に介していない。