教師たちの粋な計らいと言えば、そうかもしれない。でも、

 床にどっかり胡坐をかき、ネット向こうの女子たちが胸やお尻を揺らすのをニヤニヤ眺めている姿は、正直、あまり気分のいいものではない。


 どうせ誰々は何点、なんて点数をつけ合っているんだろう。

 自分はそれにはカウントされないことは最初からわかっているけれど、同じ女子として、だから男子って嫌なんだよね、という気分になる。


 もし朱里に点数をつけられでもしたら、それこそ最悪だ。

 誰からの嫌がらせかわからないような陰湿な報復をしてやろうか。朱夏は本気で考える。


「あ、優紀ちゃん、香魚ちゃん、お疲れー」

「お疲れー」

「おつかれー」

 と、そこに、隣のクラスの女子ふたり組が少し息を弾ませながら戻ってきた。


 朱里とにこやかに笑顔を交わすと、ふたりは彼女の隣に並んで座り、ぱーん、ぱーんと気だるげに中空を往復するシャトルを目で追う。

 その動作が、幼い猫の姉妹が目の前で飼い主におもちゃを振られて遊ばれている動画みたいに、綺麗にシンクロしている。……可愛い。