「どうせ体力が有り余ってるんでしょうよ。だったら運動部に入ればいいのに」


 アイラインを引き直しながら、バカ三人には目もくれず、くるりは言う。

 中学の頃はなにの部活をしていたかなんていう話は、そういえば聞いたことがなかったけれど、いつもこれだけギャーギャー騒いでいるんだから、今からでも運動部に入れば、体力が削られて少しは大人しくなるかもしれない。


「そう言うくるりは、部活に入ろうとは思わなかったの? 一年半も経っておいて、ほんと今さらって感じなんだけど」


「私、中学はバスケをやってたって言ったでしょう。そのときの練習が、とにかくきつくてさ。土日休みもなかったし、夏休みも冬休みも練習で潰れて、すごくつまんない中学生活だったの。別にエースでもなんでもなかったし、好きは好きだけど、高校でも続ける理由もなくて。だから、必ず部活に入らなきゃいけない学校じゃない蓮高《ここ》にしたんだよね」


「じゃあ、抑圧の反動ってやつだ?」

「まあ、そんなとこ。でも、杏奈が言うほど格好いいものでもないんだけどね」


 ふと思い出したように杏奈に聞かれ、くるりはコンパクトミラーに顔を近づけてアイラインを引きつつ答える。