壁際にごろんと寝返りを打ち、とりあえずだけれど、シミュレーションしてみる。
もし仮に本命お守りを作るとして。まあ好きだし湊に渡すでしょ。完歩すれば湊はりんごがひとつもらえて、万が一にもお守りのお礼としてりんごのお返しがあったとする。そしたら私は、そのりんごでアップルパイを焼いて、湊と一緒に食べることになる。
「……うわっ、めっちゃ恥ずっ!」
リアルに想像しすぎたのか、放課後の教室で湊と向かい合って手作りのアップルパイを頬張る自分の姿が、とにかく気持ち悪くて仕方がなかった。顔も異様に熱いし、はたと気づくと、いつの間にか足もバタバタさせていた。
勉強中なのだろう、隣の部屋の妹から壁をドンと叩かれ、無言のうるさい宣言まで通告されてしまう始末である。
「ぬぁぁ、キモいよ私……」
また壁ドンされるのは避けたいので、枕に顔を埋め、くぐもった声でシミュレーションに対しての自分の感想を述べる。
去年はまだ湊のことは好きではなかったから、参加賞的なノリで買ったギンガムチェックの生地は、お守りにもならず、かといってほかのなにかになるわけでもなく、クローゼットの中に適当に放り込まれたままだ。
もし仮に本命お守りを作るとして。まあ好きだし湊に渡すでしょ。完歩すれば湊はりんごがひとつもらえて、万が一にもお守りのお礼としてりんごのお返しがあったとする。そしたら私は、そのりんごでアップルパイを焼いて、湊と一緒に食べることになる。
「……うわっ、めっちゃ恥ずっ!」
リアルに想像しすぎたのか、放課後の教室で湊と向かい合って手作りのアップルパイを頬張る自分の姿が、とにかく気持ち悪くて仕方がなかった。顔も異様に熱いし、はたと気づくと、いつの間にか足もバタバタさせていた。
勉強中なのだろう、隣の部屋の妹から壁をドンと叩かれ、無言のうるさい宣言まで通告されてしまう始末である。
「ぬぁぁ、キモいよ私……」
また壁ドンされるのは避けたいので、枕に顔を埋め、くぐもった声でシミュレーションに対しての自分の感想を述べる。
去年はまだ湊のことは好きではなかったから、参加賞的なノリで買ったギンガムチェックの生地は、お守りにもならず、かといってほかのなにかになるわけでもなく、クローゼットの中に適当に放り込まれたままだ。