一種の防衛本能だと思う。

 チームメイトや親友として朱里が好きで一緒にいたいから、周り――特に男子に対してデカい女らしいイメージを持たれるように振る舞い、そうして自分を守っているのだ。


「そうだね。なんでかわかんないけど、イベント事には乗っちゃうよね。……なんだろ、人間の習性なのかな? みんなもやるから自分もやらなきゃ、みたいになるよね」

「あー、なるなる。別に好きな人がいるわけでもないのに、ギンガム買うとき、なんでかドキドキしちゃったりするんだよなあ」


「わかるー。無意味にキョロキョロしちゃったりするよね。ほんと、なんでだろ」

「なんでだろうねぇ」

「不思議だねぇ」

「ねー」


 朱里と首をかしげ合いながら、カラカラと気だるげに自転車の車輪を鳴らして歩く。


 ふと冷静になって考えてみると、つくづくおかしな話だなと朱夏は思う。

 体育会系だから体力には自信があるし、行事としてもオリジナリティがあって面白い。お守りを渡すのもわかる。安全祈願や完歩できますようにと願掛けをするなら、お守りの形にして渡すのがベストだろう。


 でも、本命の男子には赤のギンガムチェックでお守りを作るって、絶対に可愛い子が自己満足のためにはじめたことだよなと、どうしても朱夏は卑屈に考えてしまう。

 私みたいな中途半端にデカい女には、どう転んだって似合うわけないじゃない、と。