空元気だったけれど、さっき優紀に言ったことは本当だ。でもそれ以上に、あんな男だったとは知らずに四年もの時間を無駄にしてきた自分が、ひどくバカらしかった。


 ひどい男ではあるものの好きだったから悪く思いたくない気持ちと、好きだったからこそ、けちょんけちょんに、けなしてやりたい気持ちと。

 ひとりでいるときは前者が勝っていたが、優紀の前では、それも後者に傾く。


 どうせここに悠馬はいなんだから、と開き直れば、自分でもびっくりするほど思いっきり悪口が出てきて、でも言えば言うだけすっきりして、なんだかとても気分爽快だ。

 ――と。


「あ、ねえ、一松先輩のことはどうしたの? あの人、わざわざ一年の教室まで来て、もろ本命欲しいアピールしてたけど」


 香魚と優紀の耳に、なんともタイムリーな話題が飛び込んできた。

 ふたりでどこだと目を走らせると、緑色の子、ふたりを含む五人ほどのグループが、何人かの生徒を挟んで横一列で香魚たちの前を歩いていた。


 緑は一年生の学年カラーだ。しっかり悠馬の名字を口にしたということは、そう尋ねられた彼女は、間違いなく悠馬といい感じらしいと噂で聞いたマネージャーの子だ。