わらわらと集まっていく生徒たちの波に乗りながら、優紀が声を潜めて言った。


「朱夏ちゃんと朱里ちゃんには、半分だけ報告することに決めたけど、それで本当によかったのかなって、ちょっと思ってて」

「うん、後ろめたいよね」


「ううん、そうじゃない。香魚の心のほうだよ。後ろめたい気持ちもそうだけど、そう簡単には切り替えられないでしょ? ずっと好きだったんだし、あんなことをされて笑ってられる心境じゃないよなって思うと、もっとほかに上手い報告のし方があったんじゃないかって、どうしても考えちゃうよ……」

「……」


 そう言って力なく笑う優紀に、香魚はどんな顔で、どんな言葉を返したらいいか、すぐにはわからなかった。

 優ちゃんにはバレてしまっていたのかもしれないなと思う。……さっきまでは、ただの空元気だったことが。


 実際は、少しでも気を抜けば金曜日のことがよみがえる。家に帰ってひとりになると、心が泣き叫んでどうしても涙がこぼれる。昨日の夜だって散々泣いて、今日はふたりに会うというのに、まぶたがこの有り様だ。

 きゅっと唇を噛みしめて優紀を向く。


「……ごめん優ちゃん、私、本当は……」