「そ、そう……なの?」

「いや、よくわかんないけど、なんかあの人なら普通にやりそうな気がする」

「ああ~!」

 そう推理した彼女の言葉に、周りの友人たちの妙に納得した相づちが綺麗に重なる。


「……」

 ったく、ほんとにもう……。


 詩は気を抜くと緩みそうになる口元を必死に引き締め、心の中で盛大ににやけた。

 結局のところ、ゴリラ坊主の晄汰郎が考えていることは、詩にはやっぱり、まだ今ひとつわからないのが現状だ。でも、自分に向けられている好意の大きさだけは嫌でも胸に響いてくるから、ほとほと参ってしまう。


「……私、めちゃめちゃ頑張っちゃおっかな」


 スマホをぎゅっと胸に抱き、ぽそりと言うと、そのとたん、友人たちにわっと抱きつかれた。

 口々に「頑張って!」「歩くのが遅かったら、うちらのことは置いていっていいからね!」と紅潮した頬を持ち上げて言う彼女たちに「うん、うん!」と頷き返しながら、詩は特大のキュンを噛みしめる。