「え、なになに、どうしたの?」

 驚きをあらわにしたまま固まっていると、周りの友人たちが詩の手元を覗き込む。

 と、そこには――。


【一位でゴールした。これから南和に行く】


 たったそれだけの簡素な文が書かれていて、しかもこれから、男子のゴールの碁石から女子のゴールの南和まで行くとある。

 まあ、南和は碁石までの途中にあるので戻ればいい。帰りも当然、迎えに来てくれた家族の車で帰るから、そこも問題ない。

 ただ、次にポコンと届いたLINEには、


【歩いて戻れば、宮野がゴールする時間にちょうどよくね? そこでりんごやる】


「体力底なしか……」

 気の抜けたツッコミしか入れられない。


 篠宮晄汰郎という男は、いったいどんな男なのだろう……? 詩は改めて思う。

 とんでもない男と付き合っていることだけは確かにわかるのだが、バカなんだか、なんなんだか、もうわけがわからない。


「あら~、お熱いね~」

「あ、でも、もしかして、このために一位を目指してたんじゃない? 早くゴールして詩を迎えに行きたかったから頑張ったのかも」