でも、彼氏と彼女なのに。そう思うと、眉間に深いしわが寄る。なんだか、リア充どもめ爆発しろ、みたいな気持ちにもなる。

 あいつ、本当に私が好きなんだろうか?

 考えてもキリがないことだけれど、こうも連絡を総シカトされてしまえば、詩は嫌でもそんな疑いを持ってしまうのである。


「あ。詩のスマホ、震えてない?」

「え? あ、そう?」


 すると、もうひとりの友人が詩のジャージのポケットを指さして教えてくれた。


 基本的に携帯端末の類いは背中のリュックに入れておくことになっているが、みんな、急に具合が悪くなったときにすぐに救護の先生を呼べなくて困るから、という理由でジャージのポケットに入れている。

 夜行遠足前は学校の電話番号と救護車に乗る先生の携帯電話番号を登録したり、確認したりする。


 もちろん詩もそのとおりだ。ハンカチと一緒に入れていたので、どうやら振動が体に伝わってこなかったらしい。急いで取り出す。


「……は?」


 しかし、画面を見た詩は、真っ先に疑問符を口にしてしまった。

 ……あり得ない。こっちはまだスタートすらしていないのに。