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 ……あれ、あのふたり。なんか、ちょっと雰囲気が変わった……っぽい?


 友人たちと他愛ないおしゃべりをしながらトイレから帰ってくる道すがら、晄汰郎の幼馴染だという統吾――確かそんな名前だったはずだ――とよく一緒にいる女子ふたり組の近くを通りかかった詩は、彼女たちから受ける印象に変化があったことに気がついた。


 つい二~三日前までは、よく言えば華やかな、言葉を選ばなければ〝上〟の子らしい独特の存在感を放っていた彼女たちだったけれど、今はジャージのせいか、髪型こそ洒落ているものの、ふと例の独特の存在感が中和されているような……そんな気がしたのだ。


 とはいえ、そういう詩も、四時起きでばっちりメイクを施し、髪型も歩くのに邪魔にならない程度にオシャレを意識してひとつに結っているので、人のことをとやかく言える立場ではない。

 しかし、それでもどこか自分たちとは違うような気がしてならないのだ。


 どこだろう? と、ひとり頭を捻りながら、女子生徒がひしめき合うグラウンドを友人たちと連れ立って歩く。