はっきりと「ダメだった」とは言わないまでも、彼女たちの口振りから、悠馬にフラれたことは明白だった。

 朱夏と朱里とは、彼女たちの友達だろう。そのふたりに少しの嘘をついている点からも察するに、下衆い仕打ちを受けたことも、なんとなく想像できる。


 ことくるりに関しては、勇気を出したおかげで本当の意味でいい仲間になれ、みんなで一致団結して完歩を目指すことになったけれど、くるりのように上手くいった子ばかりではないこともまた、夜行遠足の現実である。


 グラウンドに集まった、総勢二百名近い女子生徒のうち、どれだけの子が想いを散らしたのだろうと思うと、たまらない。

 たかが夜行遠足。されど夜行遠足。

 ひどいやり方で恋愛を楽しむ癖があるクズ悠馬の性格を考えると、心のどこかで、やっぱりな、とは思っていたけれど、こうして結果を聞くと、とても居たたまれない。


「だけど、嬉し涙は流しても、そのあとは絶対に泣かなかったじゃん。あのときの香魚はめちゃくちゃ強かった。私、そんな香魚に引っ張られて泣かずに済んだんだよ」