そうしてまた笑い合うと、朱夏と朱里は、上位を狙う運動部の強者たちに混じってスタートの号砲を待つことにした。

 今はまだ、片想いの途中。親友である朱里にさえ、自分より背の低い湊のことが好きだとは、なかなか打ち明けられないままだ。


 ――でも。と、朱夏は思う。


 ふたりでトップツーが取れたら、勇気を出して言ってみようかな。自分の見た目ばかりを気にしていたけど、朱里ならそんなの関係なく応援してくれるに違いない、と。


 朱夏は大きく息を吸い込んだ。

 肺いっぱいに満たされた朝の澄んだ空気が朱夏の百七十二センチの体に染みていく。