でもやっぱり朱夏は自分より背の低い男子に恋をしている。

 朱里に打ち明けようかどうか、まだ悩んでいるし、湊と一対一で話すときは、なんだか変に態度が変わってしまって、そんな自分にヘコむ。


「お。大垣と橋本は今年も最前列か。気合い入れて頑張れよー。バレー部でトップツーなんて、今後の試合にも弾みがつくだろ」


 笑い合っていると、去年もスタート係だった先生がふたりの姿を見つけ、そう声をかけてきた。

 手にはすでにスターターピストルを持ち、ご丁寧に引き金に指までかけている。


「そうですね! 頑張ります!」


 そう朱夏が返すと、先生も満足げに頷く。

 ちなみに去年はトップツーどころかトップテン入賞も惜しいところで逃してしまった。

 でも、もし本当に自分たちでトップツーが取れたら、部の士気も上がるだろう。一勝……いや、もっと何勝もできるかもしれない。


「頑張ろうね、朱里!」

「もちろん! 一位は私だからね」

「あははっ。負けないよ~」