結局、朱夏と朱里には、無事にお守りをもらってもらえたことだけを報告することにした。

 ふたりには嘘をつくことになってしまうけれど、相談に乗ってもらったり応援してくれた彼女たちをわざわざ悲しませる必要もないよね、という結論にふたりで至ったのだ。


 今日のことは、自分たちだけの秘密。墓場まで、というのは、さすがに大げさも過ぎるけれど、ちゃんと「あんなこともあったね」と笑って話せるようになる日までは、優紀とふたりで共有していたいと思う。

 遅かれ早かれ、どうせフラれる運命だったんだし。


 私も一瞬だけでもキラキラできたかな。

 今にも茎が折れてしまいそうなほど、たわわに実った黄金色の稲穂が首を垂れる田園の中を、とんぼが盛大な群れをなして飛んでいく様子を眺めながら、香魚は思う。

 優紀の周りを舞っていたキラキラの粒が、今日の私の周りにも少しは舞ってくれただろうか、と。


 ……もしそうだったら、嬉しい。

 こっぴどいフラれ方はしたけれど、自分だけの青春は無駄にしなかったのだから。その感覚も自負もちゃんと自分の中に存在しているのだから。少しの見返りくらい欲しい。