きゅっと下唇を噛みしめ、こぼれ落ちそうな涙を必死に目の奥に押し込める。
でもこんなのは、ただのやせ我慢だ。本当は今すぐ消えてなくなりたい。自分を抹消したい。
前に優紀は、朱夏や朱里との会話の中で、『想う期間が長ければ、それだけ勝算があるってわけでもない』と言っていた。『彼女だってなんだって、できちゃうときはできる』とも言って、厳しいながらも実は愛のこもった温かいエールを送ってくれていた。
香魚にとって、すぐに捨てられてしまったお守りは、まさにそれが具現化したものだった。四年も想いを募らせてきたけれど、どうやら、それだけだったようだ。
「……ごめん。気づいちゃってたんだ」
そう言って鞄の中からお守りを取り出した優紀は、どうしたらいいのかわからない、といった顔で、ただ香魚を見つめた。
「うん……」
優紀の手からするりとそれを抜き取った香魚は、指の腹でそっと本命の証であるギンガムチェックを撫でる。
幸い汚れてはいないそれは、けれどいったんは捨てられたものとして香魚と優紀の間に鈍重な空気をもたらす。
でもこんなのは、ただのやせ我慢だ。本当は今すぐ消えてなくなりたい。自分を抹消したい。
前に優紀は、朱夏や朱里との会話の中で、『想う期間が長ければ、それだけ勝算があるってわけでもない』と言っていた。『彼女だってなんだって、できちゃうときはできる』とも言って、厳しいながらも実は愛のこもった温かいエールを送ってくれていた。
香魚にとって、すぐに捨てられてしまったお守りは、まさにそれが具現化したものだった。四年も想いを募らせてきたけれど、どうやら、それだけだったようだ。
「……ごめん。気づいちゃってたんだ」
そう言って鞄の中からお守りを取り出した優紀は、どうしたらいいのかわからない、といった顔で、ただ香魚を見つめた。
「うん……」
優紀の手からするりとそれを抜き取った香魚は、指の腹でそっと本命の証であるギンガムチェックを撫でる。
幸い汚れてはいないそれは、けれどいったんは捨てられたものとして香魚と優紀の間に鈍重な空気をもたらす。