「あ、じゃあ、俺はこれで。部活だから」
「うん、本当に本当にありがとう……!」
そうして悠馬は去っていった。
少し行ったところで肩越しに振り返り、手の中のお守りを振りながらぺこりと頭を下げる悠馬に香魚も頭を下げる。そのまま彼が廊下の角を曲がって階段を下りていく様子を、ぽぅ~っと頬を染めて見送る。
すべてが夢の中で起こった出来事のような気分だ。
けれど、そろりと自分の手に目を移してみると、確かにお守りが消えている。
タン、タン、タ……と上履きが階段を踏む音が静かに消えると、一気に脱力してその場にへたり込んでしまうのと同時に、教室から飛び出してきた優紀に「香魚~っ?」と勢いよく抱きつかれた。
体に感じる彼女の体温や重み、首に回された腕の苦しさから、香魚はようやく、少しだけ現実のことだったのだと受け止められるような気がしてくる。
「ゆ、優ちゃん。私、私……」
「やったね香魚! よく頑張ったよ!」
「うん、うんっ……」
「うん、本当に本当にありがとう……!」
そうして悠馬は去っていった。
少し行ったところで肩越しに振り返り、手の中のお守りを振りながらぺこりと頭を下げる悠馬に香魚も頭を下げる。そのまま彼が廊下の角を曲がって階段を下りていく様子を、ぽぅ~っと頬を染めて見送る。
すべてが夢の中で起こった出来事のような気分だ。
けれど、そろりと自分の手に目を移してみると、確かにお守りが消えている。
タン、タン、タ……と上履きが階段を踏む音が静かに消えると、一気に脱力してその場にへたり込んでしまうのと同時に、教室から飛び出してきた優紀に「香魚~っ?」と勢いよく抱きつかれた。
体に感じる彼女の体温や重み、首に回された腕の苦しさから、香魚はようやく、少しだけ現実のことだったのだと受け止められるような気がしてくる。
「ゆ、優ちゃん。私、私……」
「やったね香魚! よく頑張ったよ!」
「うん、うんっ……」