「う、えっ……そ、そうか……」

「そうでしょ」

「……」


 きっぱり言いきる悠馬に、香魚はじーんと胸を打たれる。

 そっか、一松くんは私のことを知ってくれていたんだなと思うと、嬉しいやら恥ずかしいやら泣きたいやら、ひと言ではとうてい言い表せない気持ちになって、口の端が勝手にヒクヒク動いてしまう。


「てか、なんで微妙に硬い感じの返事なの。そこは普通に喋ろうよ、普通に」

「いや、そう言われても、いきなりは……」

「俺と話すの、そんなに緊張する?」


「緊張するってもんじゃ……! 私とは次元の違う人すぎて、こうしてお守りを受け取ってもらえただけで、どうしたらいいのやらって感じで。……あ、あの、もらってくれて本当にありがとう。頑張ってよかったです」

「うん」


 改めてお礼を言うと、悠馬は笑って頷いてくれた。心持ち気恥ずかしそうに、彼の手の中に移ったお守りがひらりと振られる。


 実感というものはまだないけれど、丹精込めて作ったお守りが意中の人の手の中にあるというのは、とても感慨深いものだ。

 今日までにどれだけの女の子が自分と同じ気持ちを味わったのだろう、今日、これからどれくらいの女の子がこの気持ちを味わうのだろうと思うと、ふいに目頭が熱くなってくる。