ふと、一番最後に教室に戻っていった、さっきの彼女と目が合ったような気がしたけれど、香魚の気のせいだったのだろうか。
気を利かせてくれた……のかな?
ともあれ、悠馬は再びひとりで廊下を歩きはじめ、これで廊下から人が消えたので、お守りを渡すシチュエーションが整った。
香魚はカラカラに渇いた喉を無理やり動かし、朝から高まり続けていた極度の緊張で粘つく唾液を飲み込む。ゴクリ、と思いのほか大きな音がして、無駄に恥ずかしい。
でも、頑張るしかない。頑張ることに決めたのは誰でもない香魚自身なのだ。
あの日の夕暮れのグラウンドを駆け回るたくさんの蓮高生たちの姿を思い出し、ぎゅっと目をつぶって、自分の中にキラキラの粒を溜める。
さあ、頑張ろう。
私だってキラキラするんだ。
「あ、あのっ」
「……っ!」
悠馬が香魚の前を通り過ぎるタイミングで教室から飛び出す。
いきなり声をかけられて驚いた顔をしたものの、それでもちゃんと足を止めてこちらを向いてくれた悠馬に、香魚は精いっぱい両腕を伸ばしてお守りを突き出した。
気を利かせてくれた……のかな?
ともあれ、悠馬は再びひとりで廊下を歩きはじめ、これで廊下から人が消えたので、お守りを渡すシチュエーションが整った。
香魚はカラカラに渇いた喉を無理やり動かし、朝から高まり続けていた極度の緊張で粘つく唾液を飲み込む。ゴクリ、と思いのほか大きな音がして、無駄に恥ずかしい。
でも、頑張るしかない。頑張ることに決めたのは誰でもない香魚自身なのだ。
あの日の夕暮れのグラウンドを駆け回るたくさんの蓮高生たちの姿を思い出し、ぎゅっと目をつぶって、自分の中にキラキラの粒を溜める。
さあ、頑張ろう。
私だってキラキラするんだ。
「あ、あのっ」
「……っ!」
悠馬が香魚の前を通り過ぎるタイミングで教室から飛び出す。
いきなり声をかけられて驚いた顔をしたものの、それでもちゃんと足を止めてこちらを向いてくれた悠馬に、香魚は精いっぱい両腕を伸ばしてお守りを突き出した。