一方の優紀は、彼女の視線の端々にちらちらと入ってくる朝倉くんが若干うざったいようで、そわそわしている彼に向かって、
「今日は香魚に付き合うから無理って昨日から言ってるでしょ。お守りも渡したんだし、今日は絶対、一緒には帰らないからね」
「そんなぁ……」
「そんなじゃない」
「オーマイガッ……」
朝倉くん本人も思わず嘆き悲しんでしまうほどの塩対応っぷりを発揮している。
あ、お守り渡したんだ、と頬が緩みそうになるのと同時に、彼の扱いがぞんざいな優紀に妙にハラハラしてしまう。
もちろん、みんなの前だから気恥ずかしいのもあるだろうけれど、少し……いやだいぶ、惚れられた強みを発揮しているんじゃないだろうか。
昨日の体育で初めて今日のことを話したので、優紀は急遽、朝倉くんと帰るのを取りやめて金曜日の放課後を空けてくれたのだけれど……彼女もなかなか素直じゃない。
「まあまあ、優ちゃん」
「……だってさぁ」
窘《たしな》めると、優紀がぷくっと頬を膨らませる。それでも彼女の目はガックリと肩を落とした朝倉くんをチラチラと気にしているんだから、香魚は苦笑いを噛み殺すのに必死だ。
「今日は香魚に付き合うから無理って昨日から言ってるでしょ。お守りも渡したんだし、今日は絶対、一緒には帰らないからね」
「そんなぁ……」
「そんなじゃない」
「オーマイガッ……」
朝倉くん本人も思わず嘆き悲しんでしまうほどの塩対応っぷりを発揮している。
あ、お守り渡したんだ、と頬が緩みそうになるのと同時に、彼の扱いがぞんざいな優紀に妙にハラハラしてしまう。
もちろん、みんなの前だから気恥ずかしいのもあるだろうけれど、少し……いやだいぶ、惚れられた強みを発揮しているんじゃないだろうか。
昨日の体育で初めて今日のことを話したので、優紀は急遽、朝倉くんと帰るのを取りやめて金曜日の放課後を空けてくれたのだけれど……彼女もなかなか素直じゃない。
「まあまあ、優ちゃん」
「……だってさぁ」
窘《たしな》めると、優紀がぷくっと頬を膨らませる。それでも彼女の目はガックリと肩を落とした朝倉くんをチラチラと気にしているんだから、香魚は苦笑いを噛み殺すのに必死だ。