なにか変なことを言ってしまったのだろうか。

 ただ「好きなんだ」って。「だから晄汰郎の彼女になりたい」って言っただけなのに、この反応は、だいぶ意味がわからない。


「なんで先に言っちゃうの!? 俺が言おうと思ってたのに、バカじゃないのお前!」

「ええー……」


 そう吠えた晄汰郎の顔はひどく真っ赤で、若干かわいそうなくらいだった。

 でも、そう言ったということは、つまり――。


「ああもう。俺だって宮野が好きなんだけど。だから、本当に俺のことが好きかわかんないうちにお守りをもらっても、なんの意味もなかったんだよ。でもよかった、ギリギリで好きになってもらえて。ちょくちょく目を合わせてた甲斐があったし、絶対りんごもらってやるってモチベーションも高まったし」

「あはっ。あはははっ!」


 真っ赤な顔でニシシと笑う晄汰郎に、詩はたまらず吹き出す。

 答え合わせはひどく簡単だった。お互いに好き。たったそれだけだ。


「いつから私のこと好きだったの?」


 ものは試しと思い、尋ねてみると、晄汰郎からは「グラウンドの脇の道を通って帰る姿を見つけたときから」という、なんとも赤面ものだが、なんだか確信犯ではぐらかされているような微妙な返事が返ってきた。