本当は全部をうやむやにして、なかったことにしたい。でも、こうなったらもう腹を括って告うしかないかもしれない。

〝答え合わせ〟の意味は詩には今ひとつわからないままだけれど、本当の気持ちを言えるチャンスであることに変わりはないのだ。当たって砕けたら、この気持ちもいくぶん晴れる。


 本当の恋が上手くいかないことだらけだって教えてもらえただけ、晄汰郎を好きになった意味がある。そう思えば、答え合わせをした結果がどうであれ、もう計算なんて必要なくなれるんじゃないかという気もする。


 それに不思議と、詩は今なら素直になれるような気がしていた。きっと晄汰郎が、先に自分が感じた気持ちを正直に吐き出してくれたからだろう。

 やっぱりゴリラ坊主には敵わないな。

 ふっと微笑を漏らし、詩は手に持ったままの本命お守りをぎゅっと握り直した。


「……あのね、実は私――」

「っ!?」

 すると、言いはじめたそばから、ゴリラ坊主がみるみる真っ赤なサルになっていった。


「おおお、お前なぁ~……!」

 詩は、そう言って盛大に頭を抱える晄汰郎に「え? え?」とあたふたするのみだ。