「試すようなことして、ごめん。でも、どうしても知りたかったんだよ、宮野の本当の気持ち。それからはまあ、こんなふうに、こじれまくっちゃったんだけど、そろそろお互いにはっきりさせたほうがいいでしょ。もう明後日なんだし、同じ105キロを歩くにも、モチベーションだって全然違ってくるし」

「……」


 ずっと頭をじょりじょり撫でたまま、照れくさそうに、そう一気に吐き出す晄汰郎の顔は、どこか赤いように思えた。

 その仕草や顔の赤らみや、まさかそこまで見抜かれていたとは思ってもみなかったこと、普段から晄汰郎はよく私のことを観察していたんだなと、嬉しい反面、とても恥ずかしかったことなどが一気に押し寄せ、詩は言葉を失った。


 一般的に考えたら、相手を試すようなことをするのは、あまりいいこととは言えないだろう。

 けれど晄汰郎には、そうしなければならないだけの理由があったのだ。


 とかく詩は計算で動くタイプだ。そんな彼女にお守りを渡された。晄汰郎は当然、どういう意味だろう、自分は彼女にどう思われているんだろうと気になったに違いない。