おそらく彼女たちに怒られて探しに来たのだろう晄汰郎にも、とばっちりを食わせてしまって悪いことをしたなと思うものの、なかなか腰が上がらないのが現状だ。

 どうせ自分の意思で探しに来てくれたわけじゃないんだし。

 そう思うと、ますます惨めになる。


「……つーか、さっきの俺の言い方も悪かったよ。宮野があんまり素直じゃないから、こっちも売り言葉に買い言葉っつーか」


 そう言うと、晄汰郎は詩の前にしゃがみ込み、下から顔を覗き込んできた。

 どうやら今日の練習は、もう遅れていくことに決めたらしい。声には多分に幼い子供を宥《なだ》めるような色が含まれていて、時間のかかる作業であることを容易にうかがわせている。


 自分のせいで部活に遅れさせてしまうこと、とばっちりを食わせてしまったこと、それでも自分のことを探しに来てくれたことが混ぜ合わさって、詩の胸はツキンと痛い。


「……どうせそれも、みんなに謝れって言われたから言ってるだけなんでしょ?」


 そして、そう言ってしまう自分の可愛げのなさにも、胸がジクジクと痛かった。


「なんでそう思うわけ」

「だって晄汰郎、私のこと嫌いじゃん」