付き合っちゃえよ、なんて、よく簡単に言えたものだよ。付き合う以前に、フラれるわ嫌われているわの私に、最初から挽回のチャンスなんてあるわけがないじゃないか。
「……どうせ私のことなんて好きじゃないじゃん。むしろ一番嫌いなタイプじゃん。だったら無理して〝くれ〟なんて言わなくていいのに。わかんねーのはそっちだっつーの」
ザッ、ザッと音を立てて遠ざかっていく晄汰郎の足音を聞きながら、ますます首を引っ込めて俯いた詩は、ぼそぼそと毒を吐いた。
誰にも聞かれることなく砂地の地面に吸い込まれていく本音という名の毒は、ともすれば自分にまで回ってきそうで、詩は思わず一歩、身を引いた。しかしその間もみるみるうちに目に溜っていった涙は、とうとうぽたりと詩の体から離れていってしまう。
「ううっ……」
一度落ちてしまうと、もう自分の力では堰き止めきれなかった。量産されては機械的に体から切り離されていくそれらは、途絶えることなく詩の足元にぽたぽた落ち続ける。
放課後になってまだ間もない体育館裏は、静かなものだった。壁に背中を預けてしゃがみ込むと、湿ったため息が口をつく。
「……どうせ私のことなんて好きじゃないじゃん。むしろ一番嫌いなタイプじゃん。だったら無理して〝くれ〟なんて言わなくていいのに。わかんねーのはそっちだっつーの」
ザッ、ザッと音を立てて遠ざかっていく晄汰郎の足音を聞きながら、ますます首を引っ込めて俯いた詩は、ぼそぼそと毒を吐いた。
誰にも聞かれることなく砂地の地面に吸い込まれていく本音という名の毒は、ともすれば自分にまで回ってきそうで、詩は思わず一歩、身を引いた。しかしその間もみるみるうちに目に溜っていった涙は、とうとうぽたりと詩の体から離れていってしまう。
「ううっ……」
一度落ちてしまうと、もう自分の力では堰き止めきれなかった。量産されては機械的に体から切り離されていくそれらは、途絶えることなく詩の足元にぽたぽた落ち続ける。
放課後になってまだ間もない体育館裏は、静かなものだった。壁に背中を預けてしゃがみ込むと、湿ったため息が口をつく。