さすがに可愛げがなさすぎたと自覚した詩は、口ばかりの謝罪を伝える。でも心の中では様々な感情が縦横無尽に飛び交う。


 ちょくちょく目が合っていたことだって、冷静に考えれば、なに見てんだよ的に不快だったからとも考えられなくもない。

 私のことが嫌いだから、あえてちょっかいを出しているのだと思えば、一度は「いらない」と突き返したものをわざわざ欲しいとは、なかなか考えが改まらないのではないかと思う。


 実際、詩も、自分の計算高さが嫌われる原因なのだとわかっている。わかる人にはわかってしまうその計算高さは、晄汰郎にとって今までどれだけ不快だったことだろうか。


 余計な探り合いや駆け引きなんてせず、ストレートに伝える。そういう子が晄汰郎は好みなのだろう。

 詩とは正反対の、作られた可愛さではなく本来の可愛さで勝負をしてくるような子が、きっと晄汰郎は好きなのだ。


「なんだよ、その言い方。受け取ってもらえるまで何度でも渡すって言ったのはそっちだろ。もう明後日だけど、それでいいわけ?」

「……い、いいもなにも、急に渡す気になれなくなったんだもん、仕方ないじゃんか」

「は? なんなの。マジわかんねーわ」

「わかんなくていいし……」