優紀がからからと笑ってそう言ったので対戦相手を見てみると、なんと本気スマッシュを打ち返したのは朝倉だった。
どうやら今日は雌雄を決する闘いをしているらしい。この前はダブルスを組んで仲睦まじくやっていたのに、男子もなかなか忙しそうである。
「でも朱夏。もし朱夏に好きな人ができたら、そのときは私に報告してね。なにか協力できるかもしれないし、打ち明けてもらえないのは、やっぱり普通に寂しいからさ」
「……うん」
頑張れーと朝倉に声援を送りはじめた香魚と優紀に聞こえないよう、朱里がこしょっと耳打ちする。とりあえず頷いてみたものの、しかし朱夏の心の中は複雑化の一途だ。
もうだいぶ前から、朱里には隠しごとをしている。恋バナをオープンにしている香魚や優紀にも打ち明けてもらったのに、友達なのにと思うと、罪悪感や後ろめたさから、まともに目が合わせられなくなる。
ただ好きなだけなのに、どうしてこんなに悩まなくちゃいけないんだろう……?
また本気スマッシュを打ち返されて心底悔しそうに体育館の床をのたうち回る湊のひょろ白い姿を眺めながら、朱夏は朱里たちに気づかれないよう、こっそり唇を噛みしめた。
どうやら今日は雌雄を決する闘いをしているらしい。この前はダブルスを組んで仲睦まじくやっていたのに、男子もなかなか忙しそうである。
「でも朱夏。もし朱夏に好きな人ができたら、そのときは私に報告してね。なにか協力できるかもしれないし、打ち明けてもらえないのは、やっぱり普通に寂しいからさ」
「……うん」
頑張れーと朝倉に声援を送りはじめた香魚と優紀に聞こえないよう、朱里がこしょっと耳打ちする。とりあえず頷いてみたものの、しかし朱夏の心の中は複雑化の一途だ。
もうだいぶ前から、朱里には隠しごとをしている。恋バナをオープンにしている香魚や優紀にも打ち明けてもらったのに、友達なのにと思うと、罪悪感や後ろめたさから、まともに目が合わせられなくなる。
ただ好きなだけなのに、どうしてこんなに悩まなくちゃいけないんだろう……?
また本気スマッシュを打ち返されて心底悔しそうに体育館の床をのたうち回る湊のひょろ白い姿を眺めながら、朱夏は朱里たちに気づかれないよう、こっそり唇を噛みしめた。