卑屈だろうとなんだろうと、比較してしまうものはしてしまうのだ。自分と朱里との身長差も、湊との、たった一センチの差も、朱夏にとっては天と地ほどの差に思える。

 そう簡単に克服できたら、苦労はない。


「ああ、そっか、そっちね。私はなんとも思ってなかったけど、言われてみれば、確かにちょっと虚しいかもしれないなぁ」

 集中できない理由は、それだったの。

 続けて言われて、朱夏は首肯する。


 そういえば朱里は、生地を買っても作る相手もいないし、って言っていたっけ。

 すっかり自分のことばかりになってしまっていたけれど、今さらながら朱里は誰かに適当に配ってみたりはしないのだろうか。……いや、するわけないか。真面目ないい子だし。


「うーん。でも私は、焦って恋することもないと思うよ? 朱夏は朱夏なんだし、焦ったところで好きになれるわけでもないんだし」

「まあ、そりゃそうなんだけどさぁ」


「え、もしかして朱夏、好きな人いるの?」

「まさかっ!!」

「……っ」


 あ、また小さな嘘。