だから湊も、バド部の女子に部活用のお守りをもらったら普通に嬉しいだろうし、もし仮に本命までもらうようなことがあれば、その子のことを一発で好きになってしまう可能性だって、十分にあり得ると思うのだ。


 だって基本、男子は単純だ。湊もそうだとは限らないけれど、今まで浮いた話がなかったのだから、煙が立てば瞬く間に恋の炎が燃え上がってしまうことも無きにしも非《あら》ずだ。


「はぁ……」

 そこまで考えて、またため息が出た。

 なんて私は進歩がないんだろう。こんなデカい図体なのに、まるっきりダメダメじゃんか。


「どうしたの、朱夏」

「あ、いや、香魚ちゃんはすごいなーって思って。それに比べて私はさぁ。ははは」


 隣に座る朱里に聞かれて、朱夏はとっさに笑顔を作った。どうやらばっちり聞こえてしまっていたようだ。なんとなくバツが悪い。


 香魚はふと思ったそうだ。

 こんなんじゃダメだ。このままだと、ますますみんなに置いていかれてしまう、と。


 キラキラしたいとも言った。

 優紀やバレーを頑張る自分や朱里、剣道部の悠馬や、そのほかの蓮高生たちが一瞬一瞬、自分だけの青春を消化しているように、自分もキラキラしたい。ほかの人から見てキラキラしてるなって思ってもらえるように頑張りたい、と。