先生といえども人間なので、十二時近くになれば当たり前にお腹も空くだろうけれど、叱り文句としてはどうなんだろう? もしかして、彼女とケンカでもした?

 彼女がいることを公言していることもあって、朱夏は潔い先生だなと好感を持っていたのだけれど、今のでちょっと株が下がった。まあ、直接は関わり合いにならない先生なので、これといって特に支障もないけれど。


 ……ていうか、あと二日しかないじゃん。

 朱夏は人知れず大きなため息をつく。

 とかく今の朱夏の意識は、今日はもう木曜日だということに、おおいに傾いていた。


 これからどうしよう、私はどうしたいんだろうと常に考えてはいるものの、いまだにはっきりとした答えは出ず、日数ばかりが過ぎてしまっている。授業もずっと上の空だし、部活にも今ひとつ身が入らない。

 昨日なんて、打ちやすいはずの朱里のトスを何度もふかしてしまい、キャプテンにキレられた。あれは本当に申し訳なかった。


 しかし裏を返せば、朱夏はそれくらい湊のことで思い悩みまくっているのである。

 それなのにどうして答えが出ない? こんなに悩んでいるのに、ひとつも答えが出ないなんて、ちょっとおかしくない?