ということは、当時の一年生は、もうみんなとっくに引退している。それ以前に、時期的に引退していないとおかしい。

 なので、面識があるのは、今も変わっていないなら顧問の垣谷《かきたに》先生だけだ。そこがちょっと心配で、忘れられていないといいけど、という部分でも、けっこうわりと心配だ。


「でもまあ、それならそれでいっか」


 けれど、今のくるりには、それさえ楽しみに変えられるだけの余裕があった。

 ひとりだから気楽なのもあるし、どっちに転んでも、自分はもう大丈夫なような気もしている。


 明るい口調でひとりごちて、すっかり暗くなった空を仰ぐ。日が落ちるとさすがに空気には秋の色が濃く反映され、上空にも寒そうに星が瞬いていた。

 ぐっと手を伸ばして、星を掴む真似をしてみる。もちろん実際には掴めるはずもなかったのだけれど、不思議となにかを掴めたような、そんな気がした。