ノリとテンポと、同調性。彼らはそれを大事にしている。付き合っていくなら、くるりもそれを大事にしなきゃと思ってきたし、自分に必要なスキルだとも思ってきた。

 ……でも、もう疲れちゃった。

 これが本音だ。


 これからどうなっても構わないと思えるほど、くるりの心は強くはないけれど、みんなには申し訳ないが、こういう頑張り方はやっぱり疲れてしまうのだ。それに、自分に合っているとも、やっぱりあまり思えない。


「ごめん。じゃあ、私はお先に」

「おー。また明日なー」


 いいよ、いいよ、うちらのことは気にしないで。そう言って帰りを促してくれる杏奈や統吾に申し訳なく笑って、代金を置いてカラオケ店を出る。

 今までは四人を置いて自分だけ帰ることに恐怖もなにも感じなかったけれど、このときばかりは、さすがに怖かった。


 それでも、カラオケ店を出たあとのくるりの足取りは清々しかった。そのまま駅へ向かい、卒業した中学校を目指すことにする。



「あ、隣の隣のクラスの」


 駅へ向かって歩いていると、さっきの女子の片割れ――こちらも名前は知らないが顔はわかる子が、男子と一緒に商店街を歩いている姿を見かけた。

 男子のほうは片割れの子にえらくご執心なようで、一生懸命に気を引こうとしているのが、とても可愛らしい。