ギンガムチェックの生地を買うにふさわしい自分ってなんだろう? 夜行遠足を頑張るには、私にはなにが必要なんだろう?


 その答えを見つけるには、中学校に置いてきてしまった〝なにか〟をもう一度手にしなきゃいけない。拾わなくちゃいけない。

 くるりはこのとき、強くそう思ったのだ。


 夜行遠足までは、もうあまり日がない。

 今日は火曜、女子の本番の日曜日までは、今日も含めてあと六日だ。


 六日もあると思うか、六日しかないと思うかは、人それぞれだ。

 しかしくるりには、六日〝しか〟ない気持ちのほうが大きかった。ことさら、こんなふうに他人の噂話や詮索で毎日が過ぎていくようであれば、そのぶんの時間がもったいないような気さえしてくる。


「んー? 別にいいんじゃね?」

「そうだね。私も別にいいよ。くるりがいないのは寂しいけど、最近のくるり、なんとなく元気ないなって思ってたところだったし。……なんか、無理に付き合わせちゃってごめんね。今度またゆっくりカラオケしようよ」

「ほんと? でも、なんか悪いな」


 ふたりの返事に内心でほっと胸を撫で下ろしつつ、顔は申し訳ない顔を作る。こういうちぐはぐな態度を取ってしまうことも、ダメになっていく原因のひとつな気がして嫌だ。