そんな四人をどこか冷めた気持ちで見つめながら、話だけは上手く合わせて笑い、くるりは一度は手に取ったギンガムチェックの生地のことを密かに思い出していた。



 先週の金曜、カラオケをドタキャンしたあとに向かった手芸店。

 応対してくれた店のおばさんは、くるりが店に入ってきたとたん、疑いもせずに生地が置いてある棚を教えてくれて、「可愛いわよねえ。青春って感じで」と嬉しそうに世間話を振ってきた。


 そのときくるりは曖昧に笑うことしかできなかったけれど、蓮高生というだけで生地を買いに来たんだと思われたことも、お守りを渡すんだと当たり前に思われたことも、なんだかとても恥ずかしかった。


 最終的にただの冷やかし、賑やかしになってしまったことも、それと同じくらい恥ずかしくて、申し訳なかった。

 けれど、実際に生地を手に取ってみても、結局はほかの子たちがどうしてそんなに恋や目の前の物事に頑張れるのかがわからなかったし、心の中に積もり続ける焦る気持ちとは裏腹に、自分はどうしたいのかも、わからずじまいだった。


 そんな状態で、本命お守りを作るための赤のギンガムチェックの生地なんて買えるわけがなかった。……だって私は、頑張る目標をもうずいぶん前から見失っているんだから。