もちろん、くるりもそれに倣うだけだ。

 だって、そのほうが楽だし、平和で、温和で、余計な波風だって立たないし。


 だけど今日も、どうしてかみんなの輪に入っていく気にはなれず、くるりは静かにコーラを飲んでいた。誰がどうだというわけでもないのに、今ひとつ、彼らのテンションに乗りきれないのだ。……先週から、ずっと。


「あー、ていうか、もう今週末じゃん。どうにかして休めないかなー。ほんっと憂鬱」

「夜行遠足だろ? 俺もー」

「俺も」

「俺も」


 でも、話の矛先がコロコロ変わるのは、杏奈の気持ちのいいところだ。さしたる興味も執着もないのだろう、くるくると自分の毛先を弄びながら心底嫌そうな顔をして呟く。それに統吾、瑞季、雄平の順で、絶妙な間とテンポの同意の声が続いた。


 そんな男子三人組のことを、くるりは、どこかの鳥の倶楽部みたいだなと常々思っている。さしずめ杏奈は、飼い主か調教師。

 けれど実際にそれを口に出したことはないし、なんとなく口に出せないでもいる。別に言ったところで、どうこうなるわけでもないだろうけれど、なんとなく。


 しかしあれはもはや伝統芸能の域だと思う。統吾たちにはぜひ頑張ってもらいたい。……なにをだ。