――と。

 そのときふと、じゃあ私は? という声が耳の奥から聞こえたような気がした。

 なにもしない、なにもできないと最初から自分の可能性を諦めている私に、ほかの人から見て、なにかキラキラしたものがある? と。


「……まだ、なにも」


 そう、答えはノーだ。

 それに気づいた香魚は、悔しくて、自分がひどく情けなくて、無意識にぎりりと唇を噛みしめていた。


 みるみる潤んでいく瞳でグラウンドを見つめる。

 そこには変わらず、たくさんのキラキラが散らばっていて、真正面から受けている茜のせいだけではとうてい補いきれないほど、痛烈な眩しさを放っていた。


 ――そうだ、私はまだ、なにもしようとしていない。できない理由をもっともらしく並べ立てているだけで、本当に、なにも。


「っ……」

 みんなはどうするんだろうじゃなく、私がどうしたいのかが一番大事なことなんじゃないか。……どうして四年も気づけなかったんだろう。バカだ、大バカだ、私は。


「こんなんじゃダメだ。このままだと、ますますみんなに置いていかれちゃう……」