けれどそこは、いつもどおり部活中の生徒で溢れるグラウンド。

 結局香魚には、彼らがなにを見ていたのかは、わからなかった。


「うわー、きれー……」


 ただ、グラウンドの向こうに沈みかける太陽の茜色が、とにかく綺麗で。

 その光を全身に浴びて野球にサッカー、陸上にテニスにと、それぞれの部活に思い思いに汗を流すたくさんの蓮高生の姿が、ひどく鮮烈だった。


 長く伸びた黒い影を引き連れて走る陸上部員やサッカー部員。逆光の加減でシルエットとして浮かび上がる野球部員の捕球の様子。テニス部はここからだとちょっと遠いからよくは見えないけれど、きっとラケットやボールの影も長く伸びていることだろう。


 たまには違う道を帰るのもいいものだな。

 香魚は、いつもは通らない放課後のグラウンドに目を細めて思う。

 まさにみんな、今このときしかない青春を一瞬一瞬、消化している。そして、とてもキラキラしている。


 前に見た優紀のキラキラのように。バレーを頑張っている朱夏や朱里のように。さっき見た五人グループのように。剣道着で外周に向かった悠馬のように。みんなそれぞれ自分だけの青春をキラキラと輝かせている。